「Twice Shy」のカクテルは、”ミクソロジーアンチ”の僕を唸らせる1杯だ

酒レポ

「ミクソロジーカクテル」という言葉をご存知ですか?

ミクソロジーカクテルとは、フルーツ、野菜、ハーブ、スパイスなどの素材を自由な発想で組み合わせ、伝統的なカクテルの枠を超えて作られるカクテルです。以前、沖縄のミクソロジーバーで「沖縄そばをイメージしたカクテル」を飲んだことがあります。沖縄そばの原料を乾燥させてカクテルにしたもので、名前だけで強烈なインパクトを受けました。ちなみに味はめっちゃ不味かったです。沖縄そばを普通に食ったほうがよかった。

こういったように、ミクソロジーカクテルの中には時に斬新すぎるあまりコンセプトが伝わりにくいカクテルや、見た目やアイデアは素晴らしいけど味は評価できないカクテルが存在します。というかそういうカクテルに出会いすぎて、半ば「ミクソロジーカクテルアンチ」になっていた時期もありました。

そんな「ミクソロジー?なんぼのもんじゃい!」な僕が、ロンドンで注目を集めるミクソロジーバー、「Twice Shy(トゥワイス シャイ)」の正直な感想をお伝えします。

「Twice Shy」とは

バーの名前の由来がどこから来ているかわかりませんが、Twice Shyというのは英語のことわざ「Once bitten, twice shy(一度かまれると二度目から用心する)」から来ているのではないかと思います。違ったらごめんなさい。

2023年にサヴォイの元ヘッドミクソロジストであるエロン・ソドゥ氏とビクター・マジョーロ氏、そして姉妹店のアマロ・バーのチームによってオープン。店内は2階建てで、1階には5メートルの黒い花崗岩のカウンターを備えた洗練されたバー、地下には素材を独自に加工する「ラボ」があります。ラボがあるのがミクソロジーバーっぽいですね。

あまり日本語の情報がネット上にないのですが、「ロンドンのバーでおすすめのバーは?」と有識者に聞くと大体名前が上がりますし、イギリスでは非常に高い評価をもらっているようです。

いざ「Twice Shy」へ

この日は先日レポートを書いた、Kwãnt Mayfairからはしご酒。すでにこの時点で4杯のカクテルが肝臓を活性化させています。ウォーミングアップはバッチリ。

Twice Shyは西ロンドンに位置していて、他の著名バーが集まっているエリアからは少し離れています。どちらかというと地域密着のようなイメージで、観光客が列をなす!みたいなタイプのバーではないようです。

最寄り駅のEarl’s Court駅から徒歩数分。とってもわかりやすい看板で助かります。ミクソロジー中心のバーと聞いて派手なお店を想像していましたが、意外とおとなしい外見。

店内の様子。モダンでおとなしめの内装で、ミクソロジーバーっぽさを醸し出しています。1人だったのでカウンターに座らせていただきました。花崗岩のカウンターマジでかっこいい。

Blue Cheese & Olive Oil

予想通りメニューはどれも個性的で実験的な物が多く、「どっかで飲んだことあるな」と思うものはありません。すでにカクテルを4杯飲んでおり、肝臓的にもお財布的にもそろそろ限界なので、最初に飲みたいと思った1杯のカクテルを全力で飲み干す作戦で行きます。いざ勝負。

勝負の1杯は「ブルーチーズ&オリーブオイル」をチョイス。名前だけ聞くとフードメニューですか???と思ってしまいそうな名前ですが、れっきとしたショートカクテルだそう。興味しか湧きません。

しばらく経って出てきたのは、全く予想だにしなかった見た目のカクテルでした。

え、これマティーニじゃないの?

透明でオリーブを入れてあって、ちょっと色味がついている、どうみてもダーティ・マティーニにしか見えない。もっと白濁していて、ブルーチーズの青カビが浮遊しているようなイメージをしていました。

予想外の見た目に面食らっている様子をみていたスタッフのお兄ちゃんが、「どうだ!驚いたろ!」というようなドヤ顔をしてきたのが少しムカつきました。

「(見た目は面白いけど、問題は味だぞ?そこんトコロわかってるわけ?ああん?)」という気持ちを全面に出して、グラスを口元に近づけると…

うわっ!!!すごいブルーチーズの香り!!!

またもやお兄ちゃんがドヤ顔で「どう?香りすごいでしょ?」なんて声をかけてくる始末。ここまでの勝負は完全に負けています。

恐る恐る飲んでみると…美味い。本当に美味い。

やはりダーティ・マティーニから着想を得ていると思います。ベースはウォッカを使用していて、強いブルーチーズの香りの反面、味わいはとてもドライで、オリーブオイルの味をほのかに感じます。甘さは感じず遊びは少なく、よく冷えたカクテルなので一気に飲み干してしまいたいタイプ。飲み干した後に口の中に残るブルーチーズとオリーブの余韻が素晴らしいです。

僕はひねくれた逆張りオタクなので、ブルーチーズ&オリーブオイルという名前を見た時に「ほんならブルーチーズにオリーブオイルかけて食えば一緒やん」なんて思っていましたが、確かにこれはカクテルだからこその体験、といえます。ブルーチーズとオリーブオイルを楽しみながら、後味はドライな感覚はとても不思議で、面白い経験です。

話を聞くと、ブルーチーズを抽出したエキスを蒸留して、オリーブオイルと合わせて作ったベルモットを使ってうんぬんかんぬんしているらしい。話を聞いたうえでよくわからないですが、柔軟な発想力とそれを実現するための技術力を兼ね備えていることが伺えます。

お値段は£14(約2,800円)。思ったよりリーズナブルでした。完敗です。

まとめ

実はTwice Shyでもう1杯飲んだと思うんですが、写真だけ残っていて記憶もメモも一切存在しないという怪奇現象が起きてしまったので、ここで供養しておきます。思い当たるフシはこれまでに飲み干した5杯のカクテルぐらい…不思議だ…。

さて、今回の評価は…★4です。

間違いなくまた行きたい!と思えるバーです。コンセプトと味に関しては申し分なく、接客もとても親切でフレンドリーでした。

マイナス点としては、少し不便と言わざるを得ない立地と、メニューの選択肢の少なさです。メニューの数だけ多くて中身がいまいち、よりも選びぬかれた精鋭たちが並んでいる方が何倍も嬉しいですが、それにしても味わい的に甘い系のカクテルが多く、酸味系やドライ系のカクテルが好きな僕には少し相性が悪いかなと感じました。

ちょっと不便な立地ですが、ロンドンのバーにしてはお値段も優しめなので、どちらかというと居住者の方に良いかもしれません。ミクソロジーカクテルが好きな方もそうでない方も、是非一度試してみてください。

以上、Twice Shyのご紹介でした。

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